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『わくわくキッチン』考察——目覚めた時にはもう遅い、寝取られの構造

『わくわくキッチン』考察——目覚めた時にはもう遅い、寝取られの構造

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この作品は、オリジナルキャラクター「渚」を主人公にした全6ページの短編NTR(寝取られ)同人誌である。モノクロの漫画形式で、セリフ・効果音つき。登場人物は渚と、劇中で「おじさん」と呼ばれる年上の男性の2人のみ。既存アニメのファンアートではなく、この作品だけで完結したオリジナルストーリーという点も押さえておきたい。

表紙や冒頭のコマだけを眺めると、「彼女が眠っている隙を狙われた」「会社か何かの繋がりで弱みを握られてラブホに連れ込まれた初めての関係」——そう読める作りになっている。実際、自分も最初はそう思って読んでいた。しかしセリフを頭から拾っていくと、この読み方はどうも違う。

まず構造として面白いのは、1ページ目から3ページ目まで、渚自身のセリフが一切登場しないことだ。喋っているのはずっと「おじさん」側だけで、「なにしれっと彼氏とより戻してんのさ!結婚するとか言い出すしさ〜!」と、渚が彼氏とよりを戻し結婚まで話が進んでいることへの嫉妬を、独り言のようにぶつけ続けている。渚の反応らしい反応が出てくるのは4ページ目の「へっ...!?ちょっと...!何やってるんですか!?」が最初だ。

つまりこの作品は、「眠っている渚に対しておじさんが一方的に行為を続け、渚は4ページ目でようやく目を覚まして状況に気づく」という構成になっている。1〜3ページのあいだ渚の声が存在しないのは単なる省略ではなく、彼女の意識がその場に無かったことの表現として機能している。

ここでもう1つ引っかかる台詞がある。3ページ目、「渚ちゃんの膣内おじさんのチンボの形びったりに仕上げちゃった」。これは、今回が初めての行為ではなく、何らかの先行する関係があったことを示している。4ページ目の「やっぱ耐性ついちゃうよなあ〜」も同様に、繰り返しの経験を前提にした言い回しだ。

ただし、この「先行する関係」がどの程度の期間・回数を指すのかは、この6ページの情報だけでは確定できない。「耐性」という表現は、通常はある程度の期間をかけて身体が慣れていく過程を指す言葉遣いであり、単発の行為の中で急に生まれる感覚としては据わりが悪い。加えて1ページ目の「なにしれっと彼氏とより戻してんのさ」という言い回しは、おじさんが渚の交際再開を後から知って苛立っている調子に読め、時系列としては「渚とおじさんの関係が先にあり、その後(おじさんの知らないところで)彼氏とよりを戻した」という順序の方が自然に収まる。この2点から、単発の犯行ではなく、ある程度重ねてきた関係の一場面と読む方が複数の台詞と整合的ではある。とはいえ「仕上げた」も「耐性」もこのジャンルでは誇張表現として使われることも多く、これだけで長期の不倫関係だったと断定できるほどの確度ではない。関係が始まった時期、具体的な回数、渚自身がこの関係をどう捉えていたかは、この作品の中には書かれていない。

まとめると、この作品が描いているのは「寝込みを襲われた初めての一夜」ではなく、「意識が無い状態で行為が始まり、目が覚めた時には既に手遅れになっている」という二重の裏切り構造だ。渚の意思は一貫して蚊帳の外に置かれたまま、彼女の身体だけが先に「おじさん」を覚えている——目を覚ました渚が「なんでこんなに感じて」と困惑するのは、意識と身体のあいだのそのズレそのものである。ページ数は少ないが、セリフの配置だけでここまでの構成を作っている点は素直に読み応えがあった。

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